鳥取旅行

鳥取征服旅行

脱線:倫理観のない人間からなぜ距離を取るのか。その倫理観がいつの日か自分に火の粉をもたらすという警戒感からではないか?自分とのズレ=異端者と認定するとでもいうのだろうか。いや、そもそも、倫理観がないとは、どのように定義できる?主観ではないのか?

さあ、諸君、鳥取旅行の開幕だ。時期はゴールデンウィーク。出立前から、混雑が予想され、憂鬱な気持ちが私を支配する。私を鼓舞するものは、鳥取の歴史を垣間見るということだ。歴史への熱望。これが私を昂らせる。しかし、労働は大型連休を前に、駆け込み注文が殺到し、労働時間の大幅な延長が行われた。心身ともにこの一戦に捧げた。見事に打ち破った。しかし、その代償はあまりにも大きい。翌朝にも、体の疲労感が残っている。このまま寝ていたいところだが、それは自分の好奇心が許さない。好奇心は私に鞭を打ち、寝室から叩きだす。旅行の準備を急かし、さもなくば、断頭台送りにすると、どやしつける。近辺には、親衛隊を配備しており、貴様の逃げるスキマは、一片も残されていないと。怯えた。心底から。そそくさと身支度を済ませよう。このままでは何度、地獄に落ちるか分からない。一心不乱に準備を。鳥取の栄光を、この目に見るまでは死にきれない。おお、遠征の神々よ!汝らの御力を注ぎ込みたまえ!

さあ、早朝と共に出発しよう。道のりは遠いが地道に行くのが旅の醍醐味だ。付き添いは誰もいない。ひたすらに孤独な旅だ。いや、付き人はいる。孤独という存在が。どんな時でも側に仕えている。幸か不幸か。なに、今更、嘆いたところで始まらない。最初の目的地は、大山町。かの有名な大山の姿を拝みに行く。自然はいい。心地よい。コンクリートの建物に囲まれた生活をしていると、時々息苦しくなる。都会には都会の楽しさがある。地方も然りだ。だが、定期的に魂の浄化を行いたい。さすれば、我が魂も息を吹き返す。この哀れな魂も。

旅行には、自家用車を用いる。運転は大変なこともあるが、小回りがきくため、急な目的地追加にも対応することができる。独り旅では、同行者がいないため、車内は沈黙に包まれているが、これも悪くはない。一人の時間を確保することができるからだ。一人車内では何をするのか。音楽、オーディオブックを聴くことが多い。ダウンロードしたyoutube動画を聴くのも良い。時間はたっぷりとある。新しい景色を目に焼き付けながら、お気に入りのコンテンツを楽しむ。旅の醍醐味だ。

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時間も景色も流れていく。道連れもいないが、この旅は充実するだろう。自分の欲望を詰め込んだ旅なのだから。行く当てもない旅、行く当てのある旅。五月の緑が美しい。瀬戸内海を越え、山陰地方に突入する。高速道路は便利な分、景色が単調になりがちだ。同時に、猛スピードで走り抜ける爽快感もある。まだ、早朝。朝食も取っていない。空腹の中の運転は、居眠りの心配はない。前日の夜更かしが無ければ大丈夫。今回の睡眠時間は十二分。ひたすらに鳥取を目指す。猪突猛進。お遍路のように進み続ける。空が明るくなってきた。本日は快晴のようだ。天気晴朗、波知らぬ。ここは山岳地帯だ。岡山県を縦断。岡山市街。さすがは晴天の岡山。非の打ちどころのない青空が私を歓迎する。しかし、高速道路は続く。永遠と。この時間が意外と好きだったりする。高速道路を無心で走る。岡山の市街地を抜けると、山岳地帯に入る。新緑が美しい。自然の中を高速で突っ走るのも悪くはない。鳥取が徐々に近づいてくる。好みの音楽を聴きながら進む。隣には誰もいないが、不思議と寂しさはない。この孤独旅こそいいのだ。放浪旅。さすらい人になったような気分だ。岡山の北部へ。ここには蒜山という避暑地があるらしい。山小屋別荘といったところだろうか。涼し気な風を浴びながら、谷を見下ろす。いいじゃないか。蒜山にも興味が湧いてきた。しかし、今回の本命は鳥取県だ。八方美人はいけない。自分の軸がぶれてしまうと、人生が揺らぎ始める。最も、柔軟性も持っておきたいとは思うが。さあ、鳥取県に入った。最初の目的地は、自然公園の大山だ。ここは日本の百名山にも登録されている。登山家の中では、有名な山だろう。私は鳥取出身の友人から山の存在を知った。そして、大山に行った際には、山小屋のソフトクリームを是非食べてほしいと言われたことを思い出した。往路でそのことを思い出し、ついでに行ってみることにした。自宅から三時間ほどで、大山に到着した。遠目からでも大山だと分かる。山の大きさが際立っている。素人の私でも見間違うことがない。周囲に同高度の山がないからだろう。ありがたいことだ。隣の大山と勘違いすることもない。

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