高知を知り尽くす旅は続いている。大型連休を活かし、男は孤独な旅に出た。吉田松陰の言う「飛耳長目」のために。多くの物を見聞きし、自分の世界を広げていく。その先には、何が待っているのか、想像もつかない。幸か不幸か、ネオメロドラマティックというところだろうか。初夏の行軍、いざ行かん!香美(かみ)市から南下、南国(なんこく)市へ。
兵は神速を尊ぶ!
我に続き、
南国市に突入せよ!
目的地で起こる数々の出来事が、私を強くするだろう。全ての物事に心を開き、じっくりと観察する。冷静に、しかし、好奇心旺盛に。たっぷりと高知を味わい尽くしてやろうではないか、諸君。
~民俗資料館の戦い~ (2022.5.3)
最初の攻略地点は、
「高知県立歴史民俗資料館」
https://www.kochi-bunkazaidan.or.jp/~rekimin/(公式HP)
徳島から約4時間。ここまでの道のりは長かった。険峻な山脈を超え、森林を切り開き、街道を疾駆した。滴る汗と緊張の連続。それらをすべて振り切り、無事に到着だ。満車の駐車場で、守衛に門前払いをお見舞いされる。なるほど、諸君、これが高知からの洗礼だろう。宣戦布告ととっても問題はなかろう。では、我らも存分に暴れてやろうじゃないか。そうだろう、諸君。
おお!
残酷なる現実!
土佐の洗礼!
七難八苦!
少し遠めの駐車場へ。そこからは、徒歩で資料館に向かう。気温が意外にも高い。高知は暑さが厳しいというイメージはなかったが、今回の旅路で、その印象は覆りそうだ。資料館周辺に、近世の住居を発見。興味をそそられたので、じっくりと見聞することにする。
「旧味元(みもと)家住宅」(1832年)
旧味元家住宅主屋 / 高知県立歴史民俗資料館[Tel.088-862-2211] (kochi-bunkazaidan.or.jp)
江戸時代の建物が今もなお保存されており、一般に公開されていることは、非常にありがたい。保存に貢献されている方々に感謝を。戦災も免れ、令和の今日まで生き残ってくれたこと、人もそうだが、歴史的建築物も同じである。多くのことを学ばせてもらおう、諸君。之も何かの縁なのだから。では、さっそく、土佐の歴史、楽しませてもらおう。
早速、長宗我部元親公の出迎えに。矛を交えた同士とはいえ、ここは一旦の休戦協定、和睦ということかな?確かに資料館にいる民衆を巻き添えにすることは、武士として、総司令官としても、許されることではない。ツカツカと、入口に迫る。開く自動ドア。開戦の合図。手続きを開始。
パンフレットを手に、館内を徘徊。長宗我部展へ。戦国時代の遺物を拝見。刀剣、兜、鎧に書物。土佐の歴史を垣間見る。長宗我部氏の軌跡が非常に分かりやすく、まとめられていた。元親だけでなく、長宗我部氏の勃興から、苦難、隆盛、衰退。元親の一族の歴史が脳みそに注がれる。
阿波・中富川合戦(1582年)の本陣を再現。決戦前夜の様子を、映像と共に、解説してくれる。長宗我部氏 VS 徳島の三好氏。この頃になると、三好氏は、衰退の一途をたどっていた。そこに新進気鋭の長宗我部氏が徳島に乗り込み、三好氏を撃破。
全軍、渡河せよ!
敵を撃滅し、
四国を我が手に!
元親の四国制覇まとめ表が分かりやすい。苦労人:元親の生涯を学ぶ。父との対立、息子の戦死、家臣団との亀裂。土佐を統一し、四国に覇を唱えた裏で、元親は苦悩していた。歴史の光と闇を見るようで、印象深かった。これは、ほかの歴史にも言えることではないか?諸君。学校で教えられた歴史は、ほんの一握り。一つの石ころに過ぎない。私も、まだまだ学ばなければ。
四国の歴史は、あまり注目されないが、深堀すると新しい発見も。その土地の文化、風習、自然、産業を知る。数百年前の歴史に、触れられることに感謝。歴史を繋いできた故人、現代の人にも。
歴史は人間生活の積み重ね。
おお!
岡豊の栄光!
四国の覇者!
土佐の出来人よ!
岡豊(おこう)城探検隊
長宗我部元親の居城:「岡豊城」
資料館の傍に位置。山に築城された「山城(やまじろ)」
https://www.kochi-bunkazaidan.or.jp/~rekimin/okou/castle.html(岡豊城城跡 公式HP)
館内で知識を蓄え、岡豊城探検。防衛に優れた山城だけあって、厳しい道のり。時間はかかるだろうが、知見を広めるにはもってこいである。フィールドワークは至高の営み。歴史好きには、たまらない空間になる。変態的嗅覚で城跡を見て回る。何か、何か面白い発見があるに違いない。
さあ、進軍の時!
長宗我部の牙城へ!
天守閣等の建物は無いが、堀や土塁、石垣はその姿を保っている。大きな石碑が後援会によって建てられている。この時代になっても、歴史を守り続ける人には感謝。山道の整備や遺構の保存。並々ならぬ努力。
散策道をずんずん進んでいく。幼少期の近所探検を想う。心躍る景色に、騒ぐ童子たち。猪突猛進、恐れるものなし。だが、28歳の今、孤高の探検。無言の行進。興奮と哀愁の共存。
おお!
悠久の時代!
古き良き時代!
孤独を噛み締めよ!
整備されているが、道けわし。高温多湿、にじむ汗。山城は、上層ほど重要度が増す。「二の段」「三の段」いくつかの広場に居住地、貯蔵庫を作る。城主の拠点「詰」が最重要地。順々と歩を進め、各段、詰を見学。
途中、防衛の土塁や堀があり、道もくねくねとしている。叫びたくなるが、戦国時代には、理にかなった築城法。30分程、築城の英知を感じながら、詰に到着。
少し開けた感じになっており、城下町を眺めることができる。天気も良好で、彼方まで見渡すことができる。周囲には、高層ビルもないため、昔の城下町の様子が思い浮かぶ。防衛にも適している。攻め寄せる敵の把握が簡単になる。
山城は、防御に優れている。だが、包囲されると、水源や食料確保が難しい。籠城で時間を稼ぎ、援軍を待つ。内と外で挟み撃ち。これが理想。果たして現実は?
たいてい現実は理想を裏切るものだ。
詰の間、晴天、いざ昼食。食パン、ネスカフェ、2つの神器。
ガツガツやっていると、小学生の遠足を思い出す。「遠足の弁当は普段の数倍美味い」という真理。晴天、深緑、岡豊城。飯をかきこむ孤独な男。腹は満ちるが、連れは無し。
資料館と城跡で3時間。歴史の思い出、また1つ。まだまだ序章の高知旅。歴史を学ぶ大切さ、旅の中で見つけ出す。
偉大なる高知!
受継がれる歴史!
魂に流れ込む!