高知旅行

【高知城】山内のお殿様、城下巡りて過去想う

諸君、遂に最終戦争だ。長きにわたった高知との闘争も今回で幕を下ろす。最後に立っているのは、我々か高知か。天のみぞ知る。さあ、高知市を駆け抜けよう。

高知遠征図


最終決戦の時!
高知平野を駆け、
我らが勝利を
つかみ取る!

五台山 竹林寺へ

自由民権記念館を脱出し、高知の中心街へ馳(は)せる。

攻略目的は、「竹林寺」

五台山 竹林寺|高知県高知市五台山|真言宗智山派の寺院 (chikurinji.com)

(公式サイト)

土佐藩主の保護を受けた寺院を訪問。山内家に関する情報を集める。自由民権記念館から車で、15分ほどの距離。生い茂る森林の中、竹林寺は建立されている。静けさ、静けさが周囲を支配する。この閑寂さ、至高だ。

この貫禄が私を威圧する。

さすが江戸時代からの歴史。威圧感も半端ではない。しかし、私とて高知の激戦を駆け抜けてきた。相手にとって不足はない。ぶつかり合い、お互いの力量を確かめる。刃を交えることで、理解できるかもしれない。本堂に突撃する前に、周囲を散策。

進軍を阻む階段群。

緑に覆われたお寺に目を奪われる。美しき景観よ。好敵手さながらの美観。寺院特有の静けさ。強者の余裕というものであろうか?ゆったりと構え、私を待ち受けている。

敵の探索も行える五重塔。

蝉の声はまだ聞こえないが、春夏秋冬楽しめそうなお寺だ。周囲を一通り調査し、満を持して本堂へ。歩くたびにきしむ床。この音が良いんだよなぁ。至高じゃないか。そして、和室の香り。障子。まさに和の魂だ。鎌倉時代に制作されたという庭園を見学。

南国風の北庭。
中国風の西庭。

心が休まる静かな庭。時々、鳥のさえずりが聞こえる。趣深い所だ。都会の喧騒に疲れた時、人生の意義を見失ったときに寺はうってつけだ。畳の上に座り、庭園を鑑賞。自省の時間が訪れる。瞑想の時間でもある。過去・現在・未来についての思索。今後の人生の方針を練る。充実した時間ではないか。

ここで一句。


竹林の
静けさ極まる
五台山

土佐藩主とお寺の因果に思い耽りながら、時を過ごす。一時間半ほど滞在し、いとまごいをする。夕刻の寺、月夜の寺も気になるが時間が許さない。攻略戦の際にも休息は必要だ。しかし、時は来た。


安らぎの終焉!
名残惜しき風流!
だが、残酷な運命!
さあ、砲火の中へ!

土佐藩の歴史を追跡する

次なる目的地は、

「高知城歴史博物館」

高知城歴史博物館 ◇ 土佐の歴史と文化の新拠点 (kochi-johaku.jp)

(公式サイト)

攻略戦のまえに、高知城に関する知識を蓄える必要がある。竹林寺からさほどの距離もない。電撃戦だ。一目散に博物館へ直行する。今度は打って変わって、都会の喧騒の中に、建築されている。自然と人工のコントラスト。これも高知の魅力かもしれない。

高知市公式サイトより引用。

土佐藩ゆかりの品々を舐め回すようにチェック。甲冑刀剣書物。興味深いものばかり。現代建築を極めたかのような、興味深い設計になっていた。巧妙に計画され、耐震性にも優れた建築物のようだ。歴史だけでなく、建築でも楽しませてくるとは意外であった。

テラスからは敵地を監視できる。

山内(やまうち)氏の歴史を堪能する。関ヶ原合戦の後、長宗我部を追い、高知に参上した強者。その後は、土佐に君臨し続け、幕末での活躍も有名だ。この博物館で知識を蓄え、高知城へ。


諸君!
最終戦争の時!
あらん限りの力で、
高知城を攻略せよ!

博物館からは、目と鼻の先。いざ高知城へ。現存する天守の一つ。全国でもその名前は知れ渡っている。その高知城に今も足を運ぶことができる。その幸運に感謝しよう。熊本城のように被災する時もあり、見られるときに見ておく。意外に大切なことなのではないだろうか。

見下ろしてくる高知城。

なるほど、君もこちらに気づいていたという訳か。こちらも容赦なくやらせてもらおう。広大な領域と考えぬかれた防衛設備。歩くだけでも汗がにじみ、息が切れそうになってくる。坂道に、石垣、階段、回りくどい回廊の設計。手ごわい相手だ。

しかし、さすがは天下の高知城。いたるところに罠が仕掛けられている。いつか攻めてくるであろう敵に備えての城づくり。城主、家老、家臣の知恵を絞り、民衆の動員で完成させる。まさに一国をあげての事業。

高い石垣に、石落とし。さすがの私も攻めあぐねる。そして、暑さが高知城に味方する。石垣を直接登ることを考えると身の毛もよだつ。やはり、戦わずして勝つ。無駄な戦争を一切しないものが強者なのだろうか。そして、弱い所は徹底的に攻めていく戦法。

城外に布陣していた敵援軍も駆けつけてくる。城の周囲を巡回していた。動物も防衛に駆り出す総力戦。さらに、こちらは単独の攻城者。旗色が悪い。

慣れない攻城戦が私を苦しめる。迷路に入り込んだようだ。視界も石垣や木々で悪く、まさに築城側の掌で、踊らされているような感覚だ。出口の見えないトンネルを、永遠と歩かされている。光はまだ見えない。

苦しみと絶望に打ちひしがれる中、30分ほどで天守閣へ。遂に上り詰めたのだ、敵の心臓に。陥落、陥落の時。たった一人で、勝鬨をあげよう。長き時間にわたる高知との攻防戦。孤軍奮闘、孤立無援、炎天下の大激戦。勝利収めて、天守閣。


おお!勝利の時!
高知の城下は、
まさに我が手中に!

諸君、ここに高知遠征は終幕の時を迎えた。数々の苦難を乗り越え、達成することが出来た。感謝致す。高知の歴史はまだまだ取りこぼしがあるため、第3回遠征軍を組織するかもしれない。

しかし、今回は高知の中心地を陥落させただけでも良しとしよう。では、闇夜の高知城と共にお別れだ。

~高知周遊物語 完~